教えて!仕事の実際 まちづくり

06:小さな会社を選ぶ、大きな意味

───あなたの会社とシゴト選びのポイントは何ですか

株式会社双葉 代表取締役社長 野﨑 雄平

代表取締役社長

 皆さんは、社会に出て就く仕事と自身の将来像をどんな風にイメージしているでしょうか。「大企業で大きな仕事に取り組み、高収入も得たい」「起業して自分らしさを発揮できるビジネスに賭けたい」「専門的資格を取って安定した人生を送りたい」……。
 少し前なら、どれも実現する可能性は大いにありました。しかし、皆さんの目の前にはそうはいかない時代が待ち受けています。
 AIによる社会変革は今後一気に加速し、さまざまな分野の定型的な業務や職種はいずれ消え失せるといわれます。また、業界や国境を超えた競争はいよいよ苛烈をきわめ、変革に取り残されれば企業もまた、規模・歴史を問わず、淘汰されていくでしょう。実際、きのうまで輝いていたベンチャー企業や長い歴史を重ねた大企業が危機に瀕したり、もろくも姿を消してしまった例は、近年枚挙にいとまがありません。
 弊社は戦後まもなく、都心各地での戦災復興事業の測量からスタートを切った会社です。社員も70名ほどと、ごく小さな組織です。しかし、こんな時代こそ、コンパクトな組織に活路がある。そこで働く人も、自力をつけて時代の荒波を乗り越えられる。そう私は確信しています。なぜなら、細分化された業務を分担する大組織で、仕事全体を自分の手中に収められる社員はごくわずか。一方、小さな会社では大きな裁量が与えられ、一人ひとりが守備範囲を広げないと仕事が進みません。それだけに、全体像を頭に入れて自ら判断を下し、スキルの幅を広げる姿勢が習慣化される環境があります。
 もちろん、専門的なスキルの掘り下げは必要です。そのうえで、幅広い分野の知見を積み重ね、総合的な判断やパフォーマンスができる。今後社会が求めるのは、そうした人材です。
 第4次産業革命とも称される激動の時代に生き残っていくために、皆さんも会社選択をじっくりと考えてみてください。